winter war
2010年7月14日 ポエム耳元で硬化した雪をえぐりながら滑走する重厚な音が聞こえた。
地面に横たわった自分から見える視界は限られているが
ざくりという音に目をやるとやや薄汚れた白いフードを被った姿が
横にかしずいていた。
顔はこちらを見ず、背を向けたまま、
掲げたその銃口は降ろさないままだ。
それは一度前左右を一通りざっと確認すると
やっとこちらに向き直った。
そしてこちらの姿を確認すると
それまでの緊迫した戦場の兵士の顔つきから
いつもの、柔らかな顔つきになり、そしてすぐ崩れた。
「よかった」
その顔は泣きそうな表情をしていた。
普段からころころとよく変化する表情の持ち主ではあったが
泣いた顔は滅多に、おそらく一度もみたことが無かった
ましてやこんな嬉しそうな顔で。
どうして泣くんだ、と思ったがうまく言葉にならなかった。
自分は大腿部を打たれていた。
箇所としては致命傷ではないが、
自ら助けを求めて動くことも出来ない、反撃もままならない
敵からの狙い撃ちの的になるには最適な、袋のねずみ状態だった。
これ以上長く状態が続けば出血多量で
命が危ういかもしれない、そういうラインに居た。
それに気づいてか、はっとした顔で
相手は手早く自分の着衣の一部を口で割くと
布で撃たれた箇所を覆い、更に傷口よりも
心臓部に近い足の一部を強く縛り上げた。
「少し我慢してください」
真剣な面持ちでそう言いながら簡易の治癒作業を
終えようとしていたその瞬間
バシュッと高速で雪をえぐる音がした
銃弾だ
自分がそれと察するのと、隣の相手が銃口を構えるのが同時だった。
パンッ
いつの間に照準をあわせたのかわからない、
引き金を引き、火薬の破裂音が響くと
やや遅れてから、
そう遠くない方向でと何かが倒れる音がした。
ドサリという重みのある音は小動物のそれとは違う、
暫く辺りの雪煙を巻き起こした後
ややあって沈黙が落ちた。
ふっと息を一瞬だけ吐き出して緊張の糸をほぐした
相手をじっと見つめる
相手はあまり見たことのない表情をしていた。
それに気づいてか、こちらに目をあわせると
相手は少しつらそうな顔をした
「本当はこんな姿貴方には見られたくなかったんですけどね」
言葉には悲しみと決意のようなものがあった。
銃の所有率が高い福祉国歌だなんてシャレになりませんよ、
そう茶化してはいたが
「本当はいやだったんですよ、狙撃がうまいのって」
言いながら次の狙撃に向けての準備をする。
「人を殺す能力が高いって事だから」
手に持っているのは、殺傷兵器なのだという事を
何より知っていて手足のように使いこなしていた。
その心は何よりも辛いのだろう
そう思ったが守られている自分には何一ついえない。
苦しみで顔をゆがめたが、相手は
それをやわらげる様な顔で穏やかな顔で笑顔をつくった
「でも今初めてわかったことがあります」
「きっとこの力も貴方を守るためにあったのなら、意味のあるものなんだって」
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捏造です、実在のなんやかんやは関係ないです
あったとしても気にしないでください
地面に横たわった自分から見える視界は限られているが
ざくりという音に目をやるとやや薄汚れた白いフードを被った姿が
横にかしずいていた。
顔はこちらを見ず、背を向けたまま、
掲げたその銃口は降ろさないままだ。
それは一度前左右を一通りざっと確認すると
やっとこちらに向き直った。
そしてこちらの姿を確認すると
それまでの緊迫した戦場の兵士の顔つきから
いつもの、柔らかな顔つきになり、そしてすぐ崩れた。
「よかった」
その顔は泣きそうな表情をしていた。
普段からころころとよく変化する表情の持ち主ではあったが
泣いた顔は滅多に、おそらく一度もみたことが無かった
ましてやこんな嬉しそうな顔で。
どうして泣くんだ、と思ったがうまく言葉にならなかった。
自分は大腿部を打たれていた。
箇所としては致命傷ではないが、
自ら助けを求めて動くことも出来ない、反撃もままならない
敵からの狙い撃ちの的になるには最適な、袋のねずみ状態だった。
これ以上長く状態が続けば出血多量で
命が危ういかもしれない、そういうラインに居た。
それに気づいてか、はっとした顔で
相手は手早く自分の着衣の一部を口で割くと
布で撃たれた箇所を覆い、更に傷口よりも
心臓部に近い足の一部を強く縛り上げた。
「少し我慢してください」
真剣な面持ちでそう言いながら簡易の治癒作業を
終えようとしていたその瞬間
バシュッと高速で雪をえぐる音がした
銃弾だ
自分がそれと察するのと、隣の相手が銃口を構えるのが同時だった。
パンッ
いつの間に照準をあわせたのかわからない、
引き金を引き、火薬の破裂音が響くと
やや遅れてから、
そう遠くない方向でと何かが倒れる音がした。
ドサリという重みのある音は小動物のそれとは違う、
暫く辺りの雪煙を巻き起こした後
ややあって沈黙が落ちた。
ふっと息を一瞬だけ吐き出して緊張の糸をほぐした
相手をじっと見つめる
相手はあまり見たことのない表情をしていた。
それに気づいてか、こちらに目をあわせると
相手は少しつらそうな顔をした
「本当はこんな姿貴方には見られたくなかったんですけどね」
言葉には悲しみと決意のようなものがあった。
銃の所有率が高い福祉国歌だなんてシャレになりませんよ、
そう茶化してはいたが
「本当はいやだったんですよ、狙撃がうまいのって」
言いながら次の狙撃に向けての準備をする。
「人を殺す能力が高いって事だから」
手に持っているのは、殺傷兵器なのだという事を
何より知っていて手足のように使いこなしていた。
その心は何よりも辛いのだろう
そう思ったが守られている自分には何一ついえない。
苦しみで顔をゆがめたが、相手は
それをやわらげる様な顔で穏やかな顔で笑顔をつくった
「でも今初めてわかったことがあります」
「きっとこの力も貴方を守るためにあったのなら、意味のあるものなんだって」
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捏造です、実在のなんやかんやは関係ないです
あったとしても気にしないでください
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