私は現象になりたい

私は現象になりたい
善悪も好き嫌いも可否もまだ発生しない状態の、現象でありたい。
その現象の
混じりッ気なし、純度100％の白色絵の具のような
無為さに憧れて
感情を放棄する事を(自虐ではなく)望んだりもした　　　。



狂気はどうしようもなさと一緒にあって
盲目になる事で
安息が得られるというなら
それは真実などではなく
リーゼ1錠を服用して得られる安楽は
本当はただある種の物質によって得られる
発露する負の感情の阻害作用でしかなかったのだ。

気違いのように叫ぶ事をしなくなった。
けれど静かに、終わりを見据えるようになった
もう何年も前に「全て捧げる」と思ったことを、今でも、何度でも、思い出す。
思い出して、何度でもそこに帰りたいと思う。
けれどあの熱を今も抱える事は出来ないと知って
遠く対岸で燃える火を見つめる。
そこになにがある？
人か、記憶か、物質か。

今も私はこうやって哀愁や責念などの、
ただ湧き上がるこの感情の奴隷になり拘泥し足を取られ進めず
進もうともしない。











私はただ現象になりたい。